2017年9月28日

社会人向け◆新卒3年以内で仕事を辞める人の割合は?

日本には「就職したらとりあえず3年は働くべき」という風潮があります。
実際に、転職コンサルタントや企業の採用担当者の中には、「3年以内に辞めるのは根性がない」「社会人として考えが甘い」と考える方は少なくありません。
確かに、採用する側(就職させる側)からすると「短期間で退職する人は、次の仕事もすぐ辞めるのでは」と不安に思うものでしょう。

では、実際に新卒採用を経て就職した人のうち、3年以内に退職する人はどれくらいいるのでしょうか?

※新規学卒者就職率と3年以内離職率

過去30年で離職率が低かったのは、平成4年の23.7%、平成5年の24.3%あたりになります。一方、平成12年から平成17年にかけては離職率が35%を超える年が続きました。(※1)

このように、「新卒3年以内の離職率は3割」というのはここ数年の話ではなく、30年間も変わらない事実なのです。
この30年では、産業構造の変化もあれば、好景気な時期も不景気な時期もありました。それでも、「新卒3年以内の離職率は3割」というのはほぼ変わらないのです。

この事実を踏まえると、3~4人に1人が経験している出来事を、単に「根性がない」「甘えている」と、本人の失敗とだけ捉えてよいものなのか疑問に思います。

仕事選びや長期定着には、高校時代の進路相談、大学時代のキャリア支援、新卒採用のシステム、就職後の新人教育、結婚や出産などのライフイベント…など、あらゆる要因が関係しています。
早期退職は、必ずしも原因が本人だけにあるとは限りません。

そのため、「3年以内に辞めてしまったし、どうせこの先もろくな仕事ができない」と考え、挑戦も自己実現もできない悪循環に陥ってしまってはいけません。
辞めてしまったことを責めるのではなく、なぜ退職に至ったのか原因を検討した上で、次の仕事を探していくことが大切だと思います。

※1…「新規学卒者の離職状況(平成25年3月卒業者の状況)」より引用。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000140526.html

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2017年9月11日

社会人向け◆風刺画にみる19世紀フランス女性の社会進出(展覧会『パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』)

名古屋ボストン美術館では、10月15日まで「パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」が開催されています。

パリジェンヌ展の第2章では「日々の仕事-家庭と仕事、女性の役割」がテーマとなっており、オノレ・ドーミエによる風刺画が展示されています。

青鞜派の第28図では、肌着姿の男性にズボンを投げつける女性が描かれています。
この絵には、次のようなコメントが記載されています。

オノレ・ドーミエ〈青鞜派〉第28図
オノレ・ドーミエ〈青鞜派〉第28図
-私ほどの女性に…ボタン付けをしてくれですって?ちょっと頭おかしくなったんじゃないの!
…-なんだと!…キュロットをはくだけではもの足りず…そいつを俺の頭にめがけて、投げつけるというわけだな!…
(画像とコメントは名古屋ボストン美術館HPより引用 ※1)

また、第7図では、物書きに夢中になっている母親の後ろに、浴槽で溺れる子どもが描かれています。

ドーミエは青鞜派シリーズの中で、仕事に熱中し家事や育児をおろそかにする女性を風刺しました。1840年代のフランスでは女性解放運動が活発になりましたが、「女性は家庭の仕事をすべきだ」という考えもまだまだ根強かったのです。このドーミエによる風刺画は1844年に描かれたものなので、今から170年以上も前の作品となります。

現代の日本でも、肩身の狭い思いをしながら仕事や家事に取り組む方はいるのではないでしょうか。
「家庭を大切にしたいのに、残業が多くて早く家に帰れない」、「介護で仕事を休むことが多く、同僚に申し訳ない」など、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)について悩んでいる方は多くいます。
他の立場の人を非難するよりも、老若男女問わず、お互いの特性や価値観を理解しあえる社会になるといいですね。

※1…「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち:概要」より引用。
http://www.nagoya-boston.or.jp/exhibition/list/parisienne-201706/outline.html(リンク切れ)

↓こちらもご覧ください。
育児と仕事を両立させる女性の割合は?【ブログ】

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